第48回志龍塾「生物はなぜ老い、そして死ぬのか」東京大学 定量生命科学研究所教授 小林武彦氏講演

令和5年1月31日(火)、今年度3回目となる第48回志龍塾を開催しました。

講師は東京大学定量生命科学研究所教授の小林武彦氏です。かつてお子様が本校に在学し、本校の保護者だったご縁でご協力をいただきました。

第48回志龍塾 講演概要

今回は、東京大学定量生命科学研究所教授の小林武彦氏を講師とし、「生物はなぜ老い、そして死ぬのか」を演題に御講演いただきました。 

講演の冒頭で、生物はそもそも物質の化学反応が原点であり、化学反応により壊れたためまた作る「変化と選択」の連続が進化であるというお話しがありました。そして生物が老いて死ぬのは、ゲノム(遺伝子配列)が壊れるからであり、死があるものだけが進化し現存するとのお話しに展開していきました。

生の前提として死があるとは、ある意味衝撃的ではありますが、死に関して改めて考えさせられる内容でした。また、寿命を決めるのは不安定な10%のDNAであり、その10%を安定させることが老化の防止や若返りにつながるとのことで、年老いていくことを苦とする人間の未来に光明が射す感がしました。 

質疑応答では、生徒から所定の時間ぎりぎりまで質問がなされ、先生から良い質問だとのお言葉をいただいていました。

小林 武彦(こばやし たけひこ)氏

・東京大学定量生命科学研究所教授
・生物科学学会連合代表
・神奈川県出身

九州大学、同大学院博士課程修了後、基礎生物学研究所、ロッシュ分子生物学研究所、アメリカ国立衛生研究所、国立遺伝学研究所を経て、東京大学分子細胞生物学研究所教授から現職に至る。

ゲノム解析から老化の仕組みを解き明かすなど、生命の原理や謎について幅広い視点から追究している。

『寿命はなぜ決まっているのか:長生き遺伝子のヒミツ』(岩波ジュニア新書)、『DNAの98%は謎:生命の鍵を握る「非コードDNA」とは何か』(ブルーバックス)、『生物はなぜ死ぬのか』(講談社現代新書)などのほか、編著書多数。

日本テレビ系列「世界一受けたい授業」などテレビ番組等のメディアにも頻繁に出演している。